日常生活やスポーツにおける身体の使い方について、いろいろ考えたことを整理してしばらく寝かせておくためのブログです。
面白い本を読んだ。
『10秒の壁-「人類最速」をめぐる百年の物語』(小川勝著・集英社新書)
陸上100m走におけるアスリートの体力・技術の向上だけでなく、計時装置やトラックの素材の発展、歴史的背景をひも解き、考察するという内容だ。
『10秒の壁-「人類最速」をめぐる百年の物語』(小川勝著・集英社新書)
陸上100m走におけるアスリートの体力・技術の向上だけでなく、計時装置やトラックの素材の発展、歴史的背景をひも解き、考察するという内容だ。
そこで面白いデータを見つけた。
1964年の東京オリンピック男子100m優勝のボブ・ヘイズと1991年東京世界陸上優勝のカール・ルイスの比較である。(詳しくは原書をお読みください)
ヘイズ 前半5秒6-後半4秒4(10秒0 当時世界タイ記録)
ルイス 前半5秒61-後半4秒25(9秒86 当時世界新記録)
これについてのヘイズ自身のコメントも掲載されている。
このルイスの記録は当時の世界新記録である。
この世界記録は1994年にリロイ・バレル(9秒85)、1996年にドノバン・ベイリー(9秒84)よって更新されていくのだが、1996年アトランタオリンピックでのドノバン・ベイリーの走りとの比較もされている。
ベイリー 前半5秒58-後半4秒26(9秒84 当時世界新記録)
ルイス 前半5秒61-後半4秒25(9秒86)
今度は前半の改善により世界記録が誕生した。
前半・後半どちらが重要かという議論はあまり意味がないと思う。どちらも大切だからだ。
しかしやはり、後半がカギだと思う。
これについて、日本人選手の例も掲載されている。
「暁の超特急」と称された吉岡隆徳(1932年ロサンゼルスオリンピック6位入賞、1935年には当時の世界タイ記録10秒3をマーク)と、吉岡に指導を受けた飯島秀雄(1964年東京オリンピックと1968年メキシコオリンピックで準決勝進出、東京オリンピックの4カ月前には10秒1の当時日本記録をマーク)である。
二人の特徴は「ロケット・スタート」と呼ばれる低い姿勢からの爆発的なスタートダッシュだった。
これにより前半はリード出来るものの、その負担により後半遅れてしまうというデメリットがあった。
メキシコオリンピックの4カ月前に飯島は全米選手権に出場しており、帰国後に飯島自身が陸上競技専門誌に語ったコメントは次のとおりである。
小学生に陸上を教える場合、どんなことを優先的に鍛えたらいいのだろうか考えているうちに、100mの前半後半というところに考えが及んだのである。
子供の頃は神経系の発達が著しいので、スピードをまず鍛えようというのは現在の主流なのかもしれない。
しかし、スピードを鍛えること=ダッシュに特化という風潮があるように感じるのだが、必ずしもそうは言えないのではないかという疑問を持っている。
私が現在考えているのは、しっかりした疾走フォームのイメージを身につけることがまず大切なのではないかということだ。
そのためには、スピードを落として繰り返し走ることがトレーニングの中心になる。
そして、その動きを速いスピードの中でも行えるように発展させていかなければならないように思う。
小学生である程度の結果を残しながらも十分な伸びしろを持って、中学・高校と陸上に取り組んでほしいというのが私の願いである。
「小学生である程度の結果を残す」というのは、タイムや順位もそうではあるが、何より「練習によって記録や順位が向上した」という面白さを体験し、もっと速くなりたいという心を持つことである。
だから、順位や記録という目に見える成果が必要なのだ。
そのために今取り組むべきは、パワーを必要とするダッシュよりも後半のスピードのような気がしている。
その具体的な対策というのはまだ見つかっていないのだが・・・
1964年の東京オリンピック男子100m優勝のボブ・ヘイズと1991年東京世界陸上優勝のカール・ルイスの比較である。(詳しくは原書をお読みください)
ヘイズ 前半5秒6-後半4秒4(10秒0 当時世界タイ記録)
ルイス 前半5秒61-後半4秒25(9秒86 当時世界新記録)
これについてのヘイズ自身のコメントも掲載されている。
以下、本文より引用記録方式(手動or電気)やトラックの質(アンツーカーorタータン)の違いはあるものの、この比較では前半は横一線で、後半にルイスがリードを奪うという展開であることが示されている。
「後半の4秒4を短縮するのは絶対に不可能だ。だから(略)スタートをはやくするほかはない」(1964年10月16日付「読売新聞」)と語っている。「絶対に不可能」という表現は、冷静な判断というより、非常に困難であることを強調しているだけかもしれないが、いずれにしても、100m走で今後短縮できる部分は、スタートを含めた前半にあるとヘイズが実感していたことは間違いない。
以上、引用
このルイスの記録は当時の世界新記録である。
この世界記録は1994年にリロイ・バレル(9秒85)、1996年にドノバン・ベイリー(9秒84)よって更新されていくのだが、1996年アトランタオリンピックでのドノバン・ベイリーの走りとの比較もされている。
ベイリー 前半5秒58-後半4秒26(9秒84 当時世界新記録)
ルイス 前半5秒61-後半4秒25(9秒86)
今度は前半の改善により世界記録が誕生した。
前半・後半どちらが重要かという議論はあまり意味がないと思う。どちらも大切だからだ。
しかしやはり、後半がカギだと思う。
これについて、日本人選手の例も掲載されている。
「暁の超特急」と称された吉岡隆徳(1932年ロサンゼルスオリンピック6位入賞、1935年には当時の世界タイ記録10秒3をマーク)と、吉岡に指導を受けた飯島秀雄(1964年東京オリンピックと1968年メキシコオリンピックで準決勝進出、東京オリンピックの4カ月前には10秒1の当時日本記録をマーク)である。
二人の特徴は「ロケット・スタート」と呼ばれる低い姿勢からの爆発的なスタートダッシュだった。
これにより前半はリード出来るものの、その負担により後半遅れてしまうというデメリットがあった。
メキシコオリンピックの4カ月前に飯島は全米選手権に出場しており、帰国後に飯島自身が陸上競技専門誌に語ったコメントは次のとおりである。
以下、本文引用100m走のレースパターンをあれこれ言うことが、このテーマの目的ではない。
吉岡から受け継いだスタート重視のレース戦略に、限界を感じたこともほのめかしている。
「スタートで飛び出し50から60くらいまではリードしたのです。ですから50までは絶対に負けてない。どうもヨーロッパに行くと、後半弱いながらも勝って、どうにか持ちこたえられるような気がして、(これまでは)後半の練習やらなかったのですけれども、今度(全米選手権)は完全に失敗に終わりましたから、今度は絶対に後半の練習をしなければならないと思いましたね」(一部略。カッコ内は筆者加筆)
以上、引用
小学生に陸上を教える場合、どんなことを優先的に鍛えたらいいのだろうか考えているうちに、100mの前半後半というところに考えが及んだのである。
子供の頃は神経系の発達が著しいので、スピードをまず鍛えようというのは現在の主流なのかもしれない。
しかし、スピードを鍛えること=ダッシュに特化という風潮があるように感じるのだが、必ずしもそうは言えないのではないかという疑問を持っている。
私が現在考えているのは、しっかりした疾走フォームのイメージを身につけることがまず大切なのではないかということだ。
そのためには、スピードを落として繰り返し走ることがトレーニングの中心になる。
そして、その動きを速いスピードの中でも行えるように発展させていかなければならないように思う。
小学生である程度の結果を残しながらも十分な伸びしろを持って、中学・高校と陸上に取り組んでほしいというのが私の願いである。
「小学生である程度の結果を残す」というのは、タイムや順位もそうではあるが、何より「練習によって記録や順位が向上した」という面白さを体験し、もっと速くなりたいという心を持つことである。
だから、順位や記録という目に見える成果が必要なのだ。
そのために今取り組むべきは、パワーを必要とするダッシュよりも後半のスピードのような気がしている。
その具体的な対策というのはまだ見つかっていないのだが・・・
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【このブログについて】
スポーツのパフォーマンス向上や活動的な生活を送ることを目指して、身体の使い方やその関連の事柄を研究します。そして、その過程をブログというメディアに残してゆくことで、何かの足しになればと思っています。
【管理人について】
1971年生まれ 男
元陸上競技400mハードラー
メールはこちら
twa☆s256.xrea.com (☆→@)
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