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日常生活やスポーツにおける身体の使い方について、いろいろ考えたことを整理してしばらく寝かせておくためのブログです。
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『良いところを伸ばすとか、悪いところを改善するというより、「邪魔しているものを取り除く」』
というのが僕の理想の指導者像だというようなことを、以前書きました。
今もその気持ちに変わりありません。ただ、じゃあ「邪魔もの」ってどんなもの?と自問自答しても、はっきりと答えられません。

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僕は、「動作の改善」とは「効率のよい動きを身につけること」と考え、「効率を下げる要素=邪魔もの」ととらえていました。
しかし、そんなに単純なものではなさそうなのです。

僕がいつも読んで参考にしているブログ「日本はバルサを超えられる」では「戦術的ピリオタイゼーション哲学(PTP)」というキーワードが、とても気になっています。
たとえばこの記事→www.plus-blog.sportsnavi.com/naoto/article/291
僕は陸上競技をメインにやっているので、陸上競技にPTPはどう応用できるのかということに興味があります。

今日、ある資料をパラパラと読み返していたところ、PTPに関連がありそうな記事がありました。

トレーニングジャーナル 2002年12月号 p12-30
「座談会 コオーディネーショントーレーニングの捉え方-ライプチヒのワークショップの内容をもとに」

とても気に入った部分があり、うまくまとめられないため、自分自身のメモのためにも、かなり長くなりますが、その部分を転載します。
--以下転載--
※hao80補足
文中の「荒木」=徳島大学総合科学部 荒木秀雄 教授
文中の「東根」=順天堂大学助教授 東根明人
いずれも記事掲載当時の肩書

荒木:
以前、学生が卒論でハンドボールをやりたいと言ってきた。
どういうことをテーマにしたいかと聞くと、シュートのときの筋電図や動作分析をしたいという。
私は、それはやめようと言いました。
そういう研究の結果は、「熟練者は無駄な動きがなく、速い動きで、ジャンプが高く、シュートしている」、多分そうなるだろう。
それは、現場の人たちは誰もが知っている。
1年間かけて動作分析して、熟練者はしなやかな動きをしているという結論を出して何になる。
それよりも、動作として特異な動きに注目した方が面白いのではないか。
そこで、ハンドボールのラテラルパスをテーマにすることにしました。
何をやったかというと、ラテラルパスについて、ビデオでの動作分析をして、筋電図を取って、初心者と熟練者と2つのグループで比較した。
結果は、片方のグループは、筋電図に無駄な放電がある。
そして、重心はボールの推進力を打ち消すように反対方向に動いている。
つまり、ボールに対して効率が悪い。
他方のグループは、重心はボールの推進方向に動き、強い推進力を生んでいる。
筋電図も主働筋を中心に使い、無駄な放電がない。
では、どちらがハンドボールの熟練者か。
実は、前者がそれで、無駄な放電がなく、主働筋のみ使って投げているのが初心者だったのです。
その学生は、「これは大失敗ですね。データ取りを間違えましたね」と言う。
それに対して、「先入観を持って見るからいけない」と言いました。
つまり、運動のレベルで考えると、初心者の投げ方は確かに合理的に効率が良い。
しかし、何のためにラテラルパスをするのか。
戦術の中ではラストパスとしてであって、シュートにもっていくときに、相手ディフェンスをかわそうとフェイントもかけるだろうし、見抜かれないように素早くパスするだろう。
そのとき、動きを瞬間的に修正しようとしたら、どちらが有利か。
初心者の動きは、いったんその動作を起こしたらやめられない。
ハンドボールの選手たちは、重心を動かすことによって、パスしないで元の位置に戻すこともできる。
それが運動学的な発想という狭いところで言うと、筋電図やバイオメカニクスの研究の結果、「筋電図上、無駄な放電がなく、重心の移動で推進力を生むような方法で行うとよい」と言うと、現場では、それはフェイントモーションをかける意味でも不利、状況判断によって、素早く運動を転換する意味でも不利ということになる。
だから、一見無駄なエネルギーを使っているようであっても、そういう投げ方のほうがよいとなる。
つまり、スポーツのレベルでの結論と、運動科学的な分析による結論とが逆になってしまう。
運動の科学とスポーツの科学とは違うともいえる。
それを運動の科学=スポーツの科学として捉えてしまうから、筋の専門家、膝の専門家、眼の専門家が、その立場から全体を網羅しようとするから、スポーツをしている人間の生身の身体がリアルに捉えられない。
こうするとこうなるいうある結果から、全身、全体を見ようとするから、難しい。
ところが、韓国はアメリカから、中国は旧東ドイツからコオーディネーションという、運動を全体としてどう捉えるかというところから発しているコーチングを取り入れている。
日本もそのことについて考える必要があると思います。

東根:
今おっしゃったような筋電図から推測したのと現場とでは逆のことがあるというのは、球技ではまさにそうだと思います。
陸上競技や水泳では違うと言うか、運動学的な結論が現場の結論であるという気がします。

荒木:
そうだと思います。
ただし、未熟練者は無駄な力が入るけれど、熟練してくると効率のよい使い方をする。
ところが、さらに上、トップクラスになると、初心者と似たような放電が出てくるということがあります。

東根:
そうなんですか?

荒木:
ええ。

東根:
それは陸上競技とか水泳ですか?

荒木:
いや、いろいろな種目でそうです。

東根:
う~ん。

荒木:
私が思うには、余分な筋の放電が出るというのは、例えば、今アメリカの短距離走の研究などでは、使う筋肉を変えていく、つまり、全体としては多くの筋が関与することになって、放電量は増えるようなのですが、ある短期間では乳酸が相当たまるまでの間に、腸腰筋から大腿四頭筋、大腿四頭筋から腸腰筋というような転換が出てくると、トータルでみると、瞬間瞬間のスピードは高まっていく。
同じ筋肉をずっと使うのではなく、変えていくということですね。
例えば、1時間立っているとすると、右足に体重をかけたり、左足にかけたりします。
両足均等に体重をかけていても、下腿部の外側と内側を使い分けたりしている。
同じ筋肉であっても、筋線維を微妙に使い分けていく。
その使う筋線維の変換を激しくすると、トータルでは放電量は多くなるはずなんです。
一見、無駄な筋の放電と思うけれど、それは階層的に線維レベルの非常に細かいレベルで非常にコオーディネートされた放電パターンがつくられているのではないかと思うのです。
だから、一面的にある筋の放電が多い、少ないで、だからよい、悪いと捉えると、行動というレベルでのスポーツ行為と考えた場合、その無駄、悪いとされることに意味があったり、逆に最も効率的とみえる動きこそが自由度がなく、狭くて、発展性のない動きであったりするのです。
それを力学的に計算して、膝の角度がどうであればボールはどう飛ぶと言っても、それが飛ぶ方向が見やすいものであれば、ディフェンス側からしたら、簡単に反応できる。

東根:
そうです。

荒木:
だから、スポーツにおいては、科学的な知見を現場レベルでどう結び付けるかが大事になっていく。
科学的な知見をどうコオーディネートするか、それ自体がコオーディネーションなのです。
人間の運動の考え方をどうコオーディネートし、いろいろな能力をどうコオーディネートしていくか。

司会:
初心者とトップアスリートは筋電図ではむしろ似たような現象がみられるというのは、初心者では無意識であるが、トップアスリートでは意識的?

荒木:
いや、トップアスリートも無意識だと思うけれど、無駄な筋を使っているというのは現象的なことであって、本質的には弁証法的な否定の否定のようなもので、高いレベルで同じ現象が出てくるということでしょう。

--以上転載--
座談会では、陸上競技は「運動学的な結論が現場の結論である」と言われていました。
しかし僕は、現場では自分の感覚を信じたいし、科学とは「現場の結論を裏付けるもの」だと考えています。

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スポーツのパフォーマンス向上や活動的な生活を送ることを目指して、身体の使い方やその関連の事柄を研究します。そして、その過程をブログというメディアに残してゆくことで、何かの足しになればと思っています。

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1971年生まれ 男
元陸上競技400mハードラー

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