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日常生活やスポーツにおける身体の使い方について、いろいろ考えたことを整理してしばらく寝かせておくためのブログです。
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走るフォームというのは、ランナー・スプリンターにとって全てである、というのは言いすぎだとしても、他の種目よりも断然、こだわる。
それはそうだ。走ることそのものが競技なのだから。
ランニングフォームオタクと言っても過言ではない奴がほとんどだろう。
ところがそこにパフォーマンス向上を邪魔する要素があるのだ。

拍手[1回]


走りのイメージは人それぞれであろうが、僕にとってのスプリントのイメージは、なんといってもカール・ルイスである。
ベン・ジョンソンでもモーリス・グリーンでもジャスティン・ガトリンでもアサファ・パウエルでもタイソン・ゲイでもない。
彼らはただ「はええなー」と思うだけだが、カール・ルイスだけは違う。僕と同年代(現在30代後半)の人ならわかってもらえるだろう。
スタート直後はほぼ最後尾でも、後半グイーンと「加速」する様は鳥肌ものだ。
実際には加速どころか減速しているのだが、他の選手がそれ以上に減速しているので、加速しているように見えるのだ。
お約束の後半ごぼう抜きは本当に胸のすく美しさだった。素晴らしかった。

当然、僕の子供の頃からの理想の走りはもカール・ルイスだ。
小学生の頃ルイスの走りを見て、「手をパーにしたら速く走れる」というのを誰もが疑いもなく信じていた(はずだ)。

そのカール・ルイスの走りを分析した本が今、手元にある。
「陸上競技マガジン7月増刊 '91東京・世界選手権に見るトップアスリートの技術」(ベースボール・マガジン社)
長嶋茂雄さんの「ヘイ!カール!」の記憶もいまだに鮮明な東京世界陸上において、トップ選手の技術を科学的に分析したものである。

男子100m決勝のデータを分析した結果、そこで提唱されているのが「脚全体を1本の棒のようにしたキック」である。

分析では、カール・ルイス(1位 9秒86 世界記録)とリロイ・バレル(2位 9秒88)と大学男子短距離選手29名(ベスト記録10秒60~11秒50)とを比較している。
比較している要素は、引きつけ角度・もも上げ角度・振り出し角度・振り戻し速度・股関節伸展速度・膝関節伸展速度・足関節伸展速度である。

分析の結果、大学選手と大きく違うのは股関節の最大伸展速度(大腿の後方へのスイング速度)が高いこと、膝関節と足関節の伸展速度が低いことであった。

結論として、次のようにまとめられていた。
「ルイスは大腿の後方スイング速度を、膝を固定する(膝全体を1本の棒のようにする)ことで、効率的に足先のスイング速度に変えている。
(中略)
ルイスやバレルが採用していた、足全体を1本の棒のようにしたキック動作は合理的だと思われる。彼らがこのことを知ってトレーニングしていたかは不明だが、これまでの我々の常識を打ち破るキック法であることは間違いない」


さて、長い前置きだったが、これからが本題である。

素朴な疑問である。
「ルイスやバレルは脚全体を固定してキックしようとしていたのか」

それに対し僕はこう考えます。
「見かけ上は膝や足首の角度があまり変わらず、脚全体を固定しているようなキックかもしれないが、本人はそのつもりではないのではないか」

ルイスのコーチのトム・テレツ氏も「前に引き出した膝の真下をプッシュしろ」というような指導をしていたみたいだし、そのような接地の結果が「脚全体を固定したようなキック」に見えたのであり、「脚全体を固定してキックしていた」わけではないと思う。

僕自身、「脚全体を固定したキック」を試したことがある。ちょっとやっただけで「そんなの無理」というのが正直な感想だった。
脚をブンブン前後に振り回すような、「走り」にすらなっていないような有様だったと記憶している。

トップ選手の動きを見て分析し、そのマネをすることは大切なことなのだが、他人から見た動きと、選手本人が”どういうイメージで動いているか”には必ずギャップがある。そのギャップをきちん感覚としてわかっているのがトップ選手なのだ。

大切なのは、どのくらいの力で、どのタイミングで、どういうつもりで動くけば、実際の動きが物理的に理にかなったものになるのかを「感覚としてわかっているか」だと思う。
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スポーツのパフォーマンス向上や活動的な生活を送ることを目指して、身体の使い方やその関連の事柄を研究します。そして、その過程をブログというメディアに残してゆくことで、何かの足しになればと思っています。

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1971年生まれ 男
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