日常生活やスポーツにおける身体の使い方について、いろいろ考えたことを整理してしばらく寝かせておくためのブログです。
速く走るためのビジョンを明確にするため、私の苦手な”データ”とも向き合わなければなるまい。
そう思って、本棚でほこりをかぶっていた文献を引っ張り出して眺めていたら、なかなか面白いことが書いてあった。
そう思って、本棚でほこりをかぶっていた文献を引っ張り出して眺めていたら、なかなか面白いことが書いてあった。
下記を見てほしい。
これは私の手元にある資料から抜粋したものである。
(出典:「スポーツ科学ライブラリー・3 走る科学」 大修館書店発行 宮下充正 監修 小林寛道 編著 1990年)
この表は、1984年、東京で開催された8ヶ国対抗陸上競技大会の100m走に出場した当時の一流スプリンターの疾走フォームを映像解析したデータである。
撮影は、ほぼ最高速度に達していると考えられるスタートから58m付近を中心とした8m区間について行われている。
表中、A~I は測定対象となった以下の選手である。
接地期距離と滞空期距離については、前回記事「ピッチとは?ストライドとは?」でもイラストで確認している。
また、表中の「接地距離」と「離地距離」については、次のとおりである。
ここで私が注目したいのは、B選手とE選手の違いである。
B選手は測定時、最も疾走速度の高い選手であり、E選手は男子の中で最も疾走速度の遅い選手である。
身長をストライドと身長比から逆算すると、
これは私の手元にある資料から抜粋したものである。
(出典:「スポーツ科学ライブラリー・3 走る科学」 大修館書店発行 宮下充正 監修 小林寛道 編著 1990年)
この表は、1984年、東京で開催された8ヶ国対抗陸上競技大会の100m走に出場した当時の一流スプリンターの疾走フォームを映像解析したデータである。
撮影は、ほぼ最高速度に達していると考えられるスタートから58m付近を中心とした8m区間について行われている。
表中、A~I は測定対象となった以下の選手である。
A=カール・ルイス(アメリカ) 男子
B=シュレーダー(東ドイツ) 男子
C=ティリ(イタリア) 男子
D=マクファーレン(イギリス) 男子
E=不破(日本) 男子
F=ゲール(東ドイツ) 女子
G=コンドラチョーワ(ソ連) 女子
H=ボールデン(アメリカ) 女子
I=小西(日本) 女子
B=シュレーダー(東ドイツ) 男子
C=ティリ(イタリア) 男子
D=マクファーレン(イギリス) 男子
E=不破(日本) 男子
F=ゲール(東ドイツ) 女子
G=コンドラチョーワ(ソ連) 女子
H=ボールデン(アメリカ) 女子
I=小西(日本) 女子
A | B | C | D | E | F | G | H | I | |
疾走速度 (m/s) |
11.45 | 11.49 | 10.90 | 11.01 | 10.19 | 10.19 | 10.07 | 9.57 | 8.85 |
ストライド (m) |
2.55 | 2.37 | 2.34 | 2.18 | 2.10 | 1.85 | 2.08 | 2.29 | 1.90 |
身長比 | 1.369 | 1.349 | 1.336 | 1.213 | 1.225 | 1.119 | 1.243 | 1.323 | 1.153 |
接地期距離 (m) |
1.10 | 1.10 | 1.14 | 1.07 | 0.89 | 0.81 | 0.89 | 1.01 | 0.77 |
接地距離* |
0.50
(0.45)
|
0.35
(0.32)
|
0.35
(0.31)
|
0.45
(0.42)
|
0.26
(0.29)
|
0.32
(0.40)
|
0.37
(0.42)
|
0.40
(0.40)
|
0.23
(0.30)
|
離地距離* |
0.60
(0.55)
|
0.75
(0.68)
|
0.79
(0.69)
|
0.62
(0.58)
|
0.63
(0.71)
|
0.49
(0.60)
|
0.52
(0.58)
|
0.61
(0.60)
|
0.54
(0.70)
|
滞空期距離 | 1.45 | 1.27 | 1.20 | 1.11 | 1.21 | 1.04 | 1.19 | 1.28 | 1.13 |
ピッチ (歩/秒) |
4.49 | 4.85 | 4.66 | 5.05 | 4.85 | 5.51 | 4.84 | 4.18 | 4.66 |
1歩の時間 (秒) |
0.223 | 0.206 | 0.215 | 0.198 | 0.206 | 0.182 | 0.206 | 0.239 | 0.215 |
接地時間 (秒) |
0.099 | 0.099 | 0.107 | 0.099 | 0.083 | 0.083 | 0.091 | 0.107 | 0.091 |
滞空時間 (秒) |
0.124 | 0.107 | 0.107 | 0.099 | 0.123 | 0.099 | 0.115 | 0.132 | 0.124 |
回復時間 (秒) |
0.347 | 0.314 | 0.322 | 0.297 | 0.322 | 0.281 | 0.314 | 0.371 | 0.338 |
滞空時間比** | 1.25 | 1.08 | 1.00 | 1.00 | 1.48 | 1.19 | 1.26 | 1.23 | 1.36 |
これらの値はいずれも2歩の平均値である。
*接地距離および離地距離のカッコ内の数値は、接地期距離に対するそれぞれの割合
**滞空時間比=滞空時間/接地時間
*接地距離および離地距離のカッコ内の数値は、接地期距離に対するそれぞれの割合
**滞空時間比=滞空時間/接地時間
接地期距離と滞空期距離については、前回記事「ピッチとは?ストライドとは?」でもイラストで確認している。
また、表中の「接地距離」と「離地距離」については、次のとおりである。
接地距離=接地時の身体重心と支持脚の脚先との水平距離
離地距離=離地時の身体重心と支持脚の脚先との水平距離
離地距離=離地時の身体重心と支持脚の脚先との水平距離
ここで私が注目したいのは、B選手とE選手の違いである。
B選手は測定時、最も疾走速度の高い選手であり、E選手は男子の中で最も疾走速度の遅い選手である。
身長をストライドと身長比から逆算すると、
B選手=175.7cm
E選手=171.4cm
E選手=171.4cm
であり、それほど身長差があるとは言えない。
ところが、疾走速度は
ところが、疾走速度は
B選手=11.49m/s
E選手=10.19m/s
E選手=10.19m/s
と大きな差がある。
その違いはストライドにあるようだ。
その違いはストライドにあるようだ。
B選手= ストライド 2.37m(身長比 1.349) ピッチ 4.85歩/秒
E選手= ストライド 2.10m(身長比 1.225) ピッチ 4.85歩/秒
E選手= ストライド 2.10m(身長比 1.225) ピッチ 4.85歩/秒
このデータからもわかるように、両選手ともピッチは全く同じだが、ストライドが明らかに違う。
この違いはどこから来るのか。
ストライドとピッチの分析を見ると
B選手は1回の接地でE選手よりも大きく進み、さらに短時間で遠くまで跳んでいる。
特に滞空時間を見ると、E選手はB選手よりも滞空期距離が6cm短いにもかかわらず、より多くの滞空時間を要している。
今後は、いかに間延びせずに大きなストライドを得るか、について考えていきたい。
この違いはどこから来るのか。
ストライドとピッチの分析を見ると
B選手= 接地期距離 1.10m 接地時間 0.099秒
滞空期距離 1.27m 滞空時間 0.107秒
E選手= 接地期距離 0.89m 接地時間 0.083秒
滞空期距離 1.21m 滞空時間 0.123秒
となっている。B選手は1回の接地でE選手よりも大きく進み、さらに短時間で遠くまで跳んでいる。
特に滞空時間を見ると、E選手はB選手よりも滞空期距離が6cm短いにもかかわらず、より多くの滞空時間を要している。
このことは滞空時間比(滞空時間/接地時間)を比較するとはっきりとわかる。
B選手= 1.08
E選手= 1.48
E選手= 1.48
E選手はB選手に比べ、「間延び」した走りと言えるだろう。
このように、速く走るためには「ピッチかストライドか」というような単純な選択ではなく、ピッチを落とさないようにより大きなストライドで走るという、一見矛盾した取り組みが必要となるようだ。
特に接地期距離と接地時間は重要な要素であるらしい。
当然のことであるが、滞空期には加速することができないからだ。
このように、速く走るためには「ピッチかストライドか」というような単純な選択ではなく、ピッチを落とさないようにより大きなストライドで走るという、一見矛盾した取り組みが必要となるようだ。
特に接地期距離と接地時間は重要な要素であるらしい。
当然のことであるが、滞空期には加速することができないからだ。
今後は、いかに間延びせずに大きなストライドを得るか、について考えていきたい。
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【このブログについて】
スポーツのパフォーマンス向上や活動的な生活を送ることを目指して、身体の使い方やその関連の事柄を研究します。そして、その過程をブログというメディアに残してゆくことで、何かの足しになればと思っています。
【管理人について】
1971年生まれ 男
元陸上競技400mハードラー
メールはこちら
twa☆s256.xrea.com (☆→@)
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